【Short Story】与えることは、受け取るよりも素晴らしい。

よく行くインドカレー屋さんがある。

近くに公園があり、
散歩がてら行くにはちょうどいい場所だ。

そこでいつもの
お馴染みのインド人店長は、
「お客さん、マニキュアする?」と聞いてきた。

「いや、しないけど、どうしてですか?」
私は短く答えた。


店長はなんかハニかんで言った。

「赤いマニキュア、
ちょっとココ(小指)に塗りたくて。
どこに売ってる?」

「百均に売っていますよ!」


彼は男性だ。

なんのために、
赤いマニキュアを小指だけに塗りたいのか、
よく知らない。

おしゃれのためか?
おまじないのためか?

用途を聞きたかったが、
彼は日本語がそんなに得意じゃないので、
真意は謎のままでお店を後にした。

私は歩きながら思いついた。

「そうだ。買っていってあげよう♪」

たった100円程度だ。

それだけで人の願いが実現するなんて、
なんてお手軽で、
人の喜びが創造されることがあるのだろう!

「奇跡を創造するチャンス」だ。

チャンスに恵まれたことに心から感謝した。

私は100円を持っていて、
マニキュアを買えて、
すぐそこに100円ショップがあることにも、
アイディアを即座に実行できる
宇宙の采配・自分の環境にも感謝した。

誰もがなりたい自分になることができる。


私もそう。
エンジェルにだってなれるのだ。

「あなたの夢を叶えましょう!」

私は意気揚々と100円ショップで
ワインレッドのマニキュアを手に取り、
再びインドカレー屋へとカムバックした。

「いらっしゃいま・・・!」

「はい!プレゼント〜!」

私はニヤニヤしてマニキュアを高らかに挙げた。

店長はとても喜び、
すぐに駆け寄って受け取ってくれた。

「ありがとうございます!!」

私は帰り道、とても嬉しかった。

誰かからプレゼントをもらうよりも、
誰かにプレゼントするほうが、
ずっとずっと嬉しいことに気づいた。

自分ができることで、
人のちょっとした願いを叶えられるのだ。

奇跡はいつだって起こせる。

与えることは、受け取るよりも素晴らしい。

愛も、夢も、幸せも、同じだ。

与えるほどに、満たされてゆく。

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