Short Story

【Short Story】自由ってなんだろう?

今朝、カーテンを開けると、
スカイブルーがキラキラ輝く空だった。

 

なんて美しい日なんだろう。

少し暑くなりそうだ。

 

わたしはすぐに散歩したくなった。



たいてい、
わたしが歩くときは早足だ。

そうすると気分が高揚し、
気持ちがどんどん軽くなるから。

 

お気に入りの黒いショートブーツは
大地を踏む回数がふえたのか、
角がすり減ってきた。

 

 

街を歩きながら、想う。

 

今しがた駆け出したスーツの男は、
どこへ行くんだろう?

 

向こうの交差点の
腰の曲がったお婆さんは、
どんな生活をしてそうなったのだろう?

 

表情のない若い男は、
煙草をふかしながら
なんとなく歩いている気がした。

 

どんな環境を過ごし、
今はどこへ向かっているのか?

 

 



 

 

外見がどうであれ、
年齢がどうであれ、

当たり前だが、

ひとりひとり「生活」があり
ひとりひとり「生き方」がある。

 

誰もがそんな当たり前のことを忘れてしまう。

 

怒るのには理由があり、
泣くのにも理由があるだろう。

走るのにも理由があり、
無表情なのにも理由があるはずだ。

複雑で残酷な経緯があるのかもしれない。

ただ単に視野が狭いだけかもしれない。

 

わからない。

 

そんなことを
すぐにはわからないからと言って、

わたしたちは
目の前の人の目の前の状況だけをみて、
判断してしまう。

 

己を省みるのは
ずっと後になってからのことの方が多い。

 

 

「自由」ってなんだろう?

 

 

好き放題えらぶことじゃない。

 

 

自分の主張を通し切ることじゃない。

 

 

たぶん、それは。

 

 

 

それは。

 

 

 

 



 

道に迷う女性に声をかけて、案内した。

 

気分はまだ、とてもいい。